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第四章 これからの住宅業界は「顧客満足の仕組み」が必要

 第3章では、信頼できる業者を選ぶためのポイントを、20の項目にわたってご紹介しました。ここで改めて「信頼」を形づくるものは何かと考えてみると、家づくりに対する「想い」や「志」といったものを抜きには語れないということに気づきます。
 細かな配慮をしてくれる優良会社の核となるのは、経営者の家づくりにかける「想い」です。
 その経営者の家づくりへの「想い」が本当に社会的に価値あるものであれば、それに賛同したすばらしい従業員や職人が集まってきます。そのすぐれたチームワークが、素晴らしい家をつくるというわけです。
 つまり、いい家をつくるためには、それぞれの業者が持つ想いや志を知る必要があるでしょう。第4章では、顧客満足の本質となる精神がどのようなものかについて説明していきたいと思います。

 これからの時代は、お客様の心の満足を満たす経営ができない会社は存続するのが難しくなるでしょう。
 モノとしての家を売る、という体質では、お客様からの支持は得られません。
 第3章では「配慮」「想い」という判断基準についてもご紹介してきましたが、これらのいわゆるサービス精神が、しっかりとした「仕組み」として確立しているかどうかをチェックしていただきたいと思います。
 「報告・連絡・相談」「打ち合わせ記録」「提案書類」など、細かなところまでの対応が仕組み化されている会社がベストです。
 当たり前のことを「仕組み」として徹底するところから顧客満足が成立します。
 私はそれをディズニーランドを見ていて感じます。ディズニーランドでは、毎日夜間に水洗いによる清掃などを徹底して行っていると聞きました。
 私もディズニーランドのホテルに宿泊した際に、夜中に起きて見ていたのですが、やはり午前0時をすぎるころになると、たくさんの人がクレーン車を出動させてパーク内などの清掃や各所点検をしているのがわかりました。これこそ基本の徹底であると思います。
 パーク内の各レストランを見ても、ほこりをかぶっているところが見当たらない。電球が切れている箇所も一か所もない。30年近く前にオープンしているのに、クロスの隙間も見かけない。こういったところにも夢の空間を維持するための仕組みの成果を感じます。
 しかし、ディズニーランドでは、肝心のホスピタリティが緇かく仕組み化されているかというと、そうでもないといいます。
 逆説的ですが、徹底した「仕組み」は仕組みを超えたサービス精神を生み出します。ディズニーランドには人に感動を与えるための仕組みを超えた心のあり方があるから、そこで働くスタッフは自分が夢のキャストの一員であるという自覚を持って動くのではないかと思うのです。
 仕組みはあるけれども、その仕組みを超えた配慮がお客様に感動を与えます。
 住宅会社は、ディズニーランドを見るような感覚で考えてもよいでしょう。やはりすぐれた会社の現場は、徹底的な仕組みで清潔さが保たれています。そしてそこで働くスタッフは、仕組みを超えたサービス精神を自発的に発揮しているはずです。