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第三章 業者選びのポイント19 報告・連絡・相談

こまめな伝達をしてくれるかどうか

 お客様にとって家づくりは初めての経験ですから、先が見えないと不安になります。工事は長丁場でもあるので、「何かどう変わっているのか」というのがわからないまま進んでしまうと、お客様の不安も募ります。それを解消する仕組みが「報告・連絡・相談」(報・連・相)です。
 「報・連・相」を怠ったがために、トラブルが起きるケースは枚挙に暇がありません。行き違いによるトラブルやクレームのほとんどが、ちょっとした原因によって起きています。
 私共に相談に来られた内容ですが、ある業者が家を建設中に、ガス屋さんが構造体の一部に穴を開けました。それをお客様がたまたま見つけて不安になり、工事を中断させてしまったという話があります。
 その穴はお客様から見て大きなものだったので、ずぼらな工事と言われればその通りかもしれません。ただ、普通はそれほど問題になるようなことではなかったのです。
 施工側か、「これは工事を進める上でやむを得ない穴で構造耐力上支障がないサイズのものなのですよ」などと丁寧に説明をしていれば、お客様も納得していたのではないでしょうか。
 その家をめぐっては、その後、裁判沙汰となり、工事は中断し現場は放置されたまま。度重なる雨の影響で、木造のため木が腐ったまま放置されているような状態になってしまいました。
 以上のように、「報・連・相」の1つめのポイントは、「設計時と実際の工事にズレがあれば、すみやかに説明してくれるか」「工事の際の連絡」です。

定期的な報告は必須事項

 2つめのポイントは、「報告頻度」で、「工事の進捗状況を定期的に伝えてくれるか」です。

「実際に工事が始まったら、進捗状況はどのくらい教えてもらえますか?」
「工事の進捗状況は、どのような形で報告されていますか?」


 という質問をすれば、その業者の姿勢が確認できるでしょう。
「毎日または、1週間に数回報告しています」と答えてくれる会社は信頼できると考えてよいと思います。
 あるリフォーム会社では、毎日お客様にお会いするという話をされていました。またある住宅会社では、進行物件の写真を撮影して、お客様に定期的にご覧いただくようにしているそうです。
 私の会社でも、基本的にお客様への報告は欠かしません。同業者に話したら、「そこまでやっているのですか?」とびっくりされたこともあります。私としては逆に「大事な報告をしていないのですか?」と驚いてしまうのですが......。
 報告の手段は、電話・メールーファックスなどです。私はそのお客様の環境に合う手段を取っています。耳が遠くて電話での会話が不自由なお客様には、家にファックスがなかったのでファックスをプレゼントしたこともあります。
 どんな手段でも構わないので、自分の都合のよい手段で報告してもらえるように依頼しておくことをおすすめします。

適切な報告は「安心」をもたらす

 報告の頻度は、満足度と必ず比例します。もしかしたら細かい工事の内容は報告をされてもわからないかもしれません。それでも、「しっかり工事を行っています」という報告を定期的に受けるだけで、会社への信頼感は保たれるのではないでしょうか。逆に、日々の報告、未来予測の報告がないために、「言った、言わない」のトラブルが起きることもあります。
 新築の場合は、毎日の報告でなくても、工事の状態を見て変化があれば報告をしてもらえるというくらいでもよいでしょう。しかし、最低週に2~3回はしっかり報告してほしいものです。
 報告頻度も大切ですが、それよりも「先の見えない不安をフォローする姿勢があるかどうか」が大切ということです。
 報告を通して、その会社の担当者が全員で、1つの現場をいかに大切にしているか?そんな姿勢を確認できればよいでしょう。