第一章 先に土地を購入して予算が足りなくなる失敗例
家づくりでは「深く検討せずに土地を買ってしまった」ことで失敗してしまうケースが多数あります。
例えば、土地物件を早く押さえなければと焦るばかり、建物にかける予算や、土地と建物を含めた総額を深く考えずに土地を購入してしまうというパターンです。
特に都内の場合は、土地の値段が高いため、5~6000万円の土地に2000万円以下の建物しか建てられないというケースがよく見かけられます。
先日、「なんとか800万円で家を建てることができないか」という相談を受けました。さすがに800万円というのは無理があります。
最初に不動産屋さんに相談すると、建て売り住宅を想定した金額で話を進められることが少なくありません。つまり、通常よりも低いコストで建物が建つという前提になりがちです。しかし建て売り住宅は、まとめて何戸も扱うからコストが下げられるのです。ですから、注文住宅を建てようとしたら、建て売り住宅の予算よりもお金がかかるのは当然なのです。
そういった知識を持たずに、建て売りの金額を想定して夢のマイホームを建てようとすると、実際には建てられないという現実の壁にぶつかってしまいます。泣く泣く不本意な設備の家で我慢せざるを得ないという事態を招いてしまうわけです。
土地よりも先に建物の事を考えるべき
私がお客様に必ずお聞きするのは、「あなたは土地の上に住むのですか?建物の上に住むのですか?」という質問です。
つまり「土地を買うことよりも、買った土地にマイホームを建てることの方が重要ではないでしょうか」ということです。
そう考えると、ある程度、建物中心に考えて、そこで理想の生活をするために土地を探していく方がスムーズであると言えます。
私がお客様にお勧めしているのは、「建物を建てるなら、先に工務店やハウスメーカーに相談した方が良い」ということです。もちろん中には家を建てた後のことまで考えてくれる親切な不動産屋さんもいるかもしれませんが、基本的に不動産屋さんの一番の目的は、その土地をただ売るということです。
一方、建築の専門家に相談すれば、土地を見ただけで、どういう家が建てられるかが想像できます。「この土地では建築の制限があって、1階と2階を合わせてもマンションと同じ広さしか取れないから、やめておいた方がいい」といった指摘をしてくれます。また、土地のリスクもわかります。
本当に条件のいい土地を探すためには、資金計画を立てて、仮の図面くらいは作っておくくらいの準備が必要です。しかし多くの場合は、まず不動産屋さんに行って闇雲に土地を探してしまうから失敗するのです。