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第一章  工期が短すぎる失敗例 〜 無理なスケジュールが施工不良を招く

 「工期が短すぎる」というのも、よくある家づくりの失敗例です。
例えば、子供の出産や学校への入学、仕事の転勤などに合わせて家づくりを考えるケースは少なくないでしょう。そのような場合、どうしても決められた期日に新居に引っ越したいという要望に合わせて、住宅会社が無理な工期で受注してしまい、施工不良になってしまうことがあります。

 よくあるのは、工期に合わせるために職人さんをたくさん投入するケースです。通常であれば2人の職人さんで作業すべきところを、一気に4人に増やしたりする。そうすると、それぞれの職人さんのペースが狂ってしまい、仕上げ工事に負担がかかってしまうのです。

 住宅会社はお客様の立場になって考えた上で、無理な工期で請け負わないのが誠実な態度だと思います。

 しかし、多くの会社ではせっかくの受注を手放したくないばかりに、多少無理なスケジュールを押し通してしまう傾向があります。

家づくりは工事期間だけではない

 こうした施工不良はひとえに住宅会社側がきちんと説明責任を果たさなかったことに原因があるわけですが、施工主も工期について知らないという側面があります。

 あなたは、家づくりにどのくらいの時間がかかるとお考えでしょうか。自社で開催したセミナーで参加者に尋ねると、3ヶ月とか4ヶ月、半年もあれば家ができるという感覚のかたが多いように感じます。

 しかし、それは実際に建物を建てる工事の期間に相当します。純粋に建物を建てる場合は4~5ヶ月、建て替えの場合は解体工事なども含めてプラス1ヶ月くらいが一般的です。

 実際には、トータルで1年間はかかると考えた方がよいでしょう。とくに一から家づくりをプランするとなると、「何がいいのか」などと色々悩む局面も出てくるはずです。失敗しない家づくりのためには、2年くらい前からスタートするのが理想ではないかと私は考えています。

 いずれにせよ、工期に対するイメージの「ズレ」が、時として思わぬトラブルを招いてしまうことを知っておいて損はないでしょう。