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第二章 次世代も見越したスケジュール管理を考える

 スケジュールには、家の耐久年数という視点もあります。

 現在の住宅は、昔と比べて格段に耐久性が高まっています。戦後の建築史を俯瞰すると、いくつかの転換点があるのがわかります。その一つは1981(昭和56)年です。この年に建築基準法が大きく改訂され、木造建築物の基礎に鉄筋が入るようになりました。

 1995(平成7)年には阪神・淡路大震災が起き、昭和56年以前に建てられた家屋は大きな被害を被りました。

 この大地震の被害を受けて、2000(平成12)年に建築基準法施工令が改定され、安全の基準はより厳しいものとなりました。そのため、現在の住宅は阪神・淡路大震災と同等クラスの地震があっても倒れないだけの強度を持っています。

 書籍や雑誌などでは、『日本の家の耐用年数は20~30年で建て替えるものという認識をしているようですが、それは戦後から高度成長期にかけての住宅の話です。

 スケジュールの観点で考えた場合、これから建てる家は100年以上は持つという前提で考えた方がいいと思います。これは木造の家でも、鉄筋コンクリートの家でも変わりません。

 ですから自分たちの老後はもちろんのこと、次の世代の生活も考えておくべきでしょう。
例えば、私の実家の建て替えを行った時のことですが、その家では3階にリビングスペースがあります。

 両親が住むだけでなく、自分たち夫婦の老後生活まで視野に入れると、エレベーターが必要だろう。そういった長いスパンで考えた上で、エレベーターの設置を決め、間取りを考えていったわけです。

 例えば2階建てで2階にリビングを計画する場合、今すぐにはエレベーターが必要でない、という場合は、いつでもエレベーターの取り付けが出来るように、最初からエレベーター設置用のスペースと補強基礎をつくっておくなどの方法も考えられます。

 老後を視野に入れる際には、『適正な老後を考える』という視点も大切です。

 現在は、バリアフリー住宅という言葉が一般化しました。介助や車いすの利用が必要になることを想定して、広い浴室をつくったり、廊下や部屋の出入り口を広くするなどという話が、テレビや雑誌などでも紹介されています。

 ただし、本当にそういった設備が必要なのか、冷静に考える必要があります。とても広い家で予算がしっかり確保できればよいのですが、そうでない場合は、しっかりと考えなければなりません。

 例えば、介護が必要になった時に、自分の家のお風呂に入る人がどれだけいるのか。現実的には、車いす生活の場合、自分でお風呂に入るのは難しいでしょう。現実的には移動入浴車のサービスを受けるほうが多いでしょう。

 また、車いすそのものも、家の中と外で使い分けることができます。室内用には、幅のスリムな車いすがあります。ですから、普通の廊下のサイズでも問題ないかもしれません。

 また、それ以前に車いすで家の中で老後生活を送っている人というのは、比較的少数です。現実的には、車いすに頼らず自分の足で歩き回ることができるか、寝 たきりになるかの2パターンの可能性が高いのです。そうしたことを考えると、より現実的で具体的な将来を想定することが必要になります。